緊縛―――初心者にとっては、難しそうなイメージが強いかもしれません。
私もそうでした。けれど、縄師と関わるイベントを通じて、新しい世界が開かれていきました。
緊縛体験のきっかけ
縄師、あるいは緊縛師。その存在を知ったのはSNSだった。
なぜそのような検索をしたのか、どのように辿り着いたのか、それすらも思い出せない。ただ、ある地域で緊縛師として活動している男性を見つけた。イベントを開いているらしく、その人物のTLに流れる写真には日常的なものもあれば、突然、緊縛のシーンが現れることもあり、どれも非常に興味深かった。
その地域は私の居住地から車で1時間ほどの距離で、どうやらその男性の自宅、一軒家のような場所で、定期的に人を招いて行われているらしい。
SMに対して激しい興味があるわけではないが、どうやらコミュニティのようなものができ上がっているらしい。
楽しそうにみんなで緊縛を体験する、そんなソフトな入り口から、自分も参加してみたいという気持ちが湧いてきた。
まず、彼のSNSをしっかりと調べてみると、サイトへの誘導リンクがあり、そこには様々な女性があられもない姿で縛られ、吊るされているような画像が目に飛び込んできた。
SNSではセンシティブな内容が控えめになっているのか、それとも個人ではなく集団イベントだからか、裸の写真は目立つところにはなかった。
しかし、リンク先ではその予想を裏切るような内容が広がっていて、急に緊張感が走った。
多分…さすがに、イベントでは縛るだけだよね。
わかっていても、なんだか胸の奥が疼くような、不思議な感覚が残ったまま…。
まずは彼に連絡を取ってみることにした。
緊縛イベントへの初参加
前述通り、イベントは頻繁に行われているようで、予約のような形で彼のイベントに参加することが決まった。
10月、少し肌寒くなった時期である。
初心者の私は、期待と少しの不安とともに、イベント会場へと車を走らせた。
今日は、どんなふうに縛られるのか。
どのくらい参加者がいるのだろう。普段は、かなり人も多いみたいだけど…。
会場――彼の一軒家に到着すると、チャイムを鳴らした。彼ではなく、参加者の一人である女性が顔を出し、
広い和室へと案内してくれた。そこには、案内してくれた女性以外にも女性が3名、男性が2名。
そのうち一人の男性はSNSで知った緊縛師――名前はKとしよう。
Kは案内した女性を褒めるように頭を撫でたりしている。
どうやらその女性はこのイベントの常連のようで、二人は仲睦まじい様子だった。おそらく女性的な勘だろうが、このKに惚れており、下手に動けば敵対心を抱かれるだろうなという予感がした。
私はなるべく無害であるように振る舞いながら、周りと笑顔で会話を交わしやり過ごしていった。
私の後にもう一人男性が到着し、これで会がスタートするようだった。
軽い自己紹介、性に対する悩み、縛ってみたい、縛られてみたい――いろんなやり取りを交わしながら、
その日は講座のような形で参加者同士でお互いを縛り合ったり、簡単な緊縛を教えてもらうことになった。
来ている男性の中には、しっかりと縄の技術を覚えて、レス気味の彼女と一緒に使ってみたいという人もいて、
なんだかちょっと面白い体験だな、と思った。
世の中には、まだまだ知らない世界があるんだな、と改めて感じた。
意外にも、このような世界にはポップに飛び込むことができるのだと、少し驚いた。